カテゴリ:教員コラム

ゲーム障害という病気

スクールカウンセラーの岡本です。

2018年に、WHOの国際疾病分類に「ゲーム障害」が加えられました。

「それがどうした」と思うかもしれませんが、結構、大きな出来事です。

そもそもWHOとは何でしょう?社会の授業で聞いたことあるかなあ?

世界保健機関といって、全ての人の健康を守り、向上させるために、世界の国々が協力する目的で作られています。

健康を守るために、病気に関する情報も扱っています。

国際疾病分類はあらゆる病気の名前や、どんな状態の時に、なんという病名をつけるのかという診断基準が記載されたものです。

それが、2018年に改定され、ICD-11と呼ばれています、ICDは「International Classification of Diseases」の頭文字を並べたもので、-11は11回目の改訂版ということです。そのICD-11のなかに、2013年に作られたICD-10にはなかった新しい病気として、「ゲーム障害」が加えられました。

ところで、今、大きな問題となっている新型コロナウイルス感染症にも、WHOは名前を付けています。COVID-19という名前です。おかしな名前ですが、意味があるのです。「CO」はCorona、「VI」はVirusuを表し、CIVIはコロナウイルスによるものであることを示しています。「D」はDiseaseで病気という意味です。COVIDはコロナウイルスによる病気ということを表しています。その後の-19はその病気は2019年に初めてWHOに報告されたという意味です。そういう説明を聞くと、分かりやすい名前ですね。

ICDに記載されるというのはどういうことでしょうか。それまでは、ただゲームが好きなだけだとか、病気というほどのことではないと片付けられていたのが、病気であると認められたわけです。病気として認められるにあたっては、そのことが、本人の生活や周囲の方に大きな悪影響をもたらしているのかどうかが、一つのポイントになります。また、回復するためには根性で我慢するといった、本人の努力に頼るだけではなく、治療が必要な可能性も考えないといけません。つまり、WHOは「ゲーム障害」という、本人や周囲の人に大きな悪影響をおよぼし、かかってしまうと本人や周囲の努力だけでは回復が難しい病気がありますよ。と、警告を発しているとも言えます。

ゲームは多くの人にとって、気分転換の道具として使いやすいものだと思いますが、ゲーム障害という危険も潜んでいます。何回かに分けて、ゲームにまつわる話題をお伝えいたします。今回は、「ゲーム障害」という病気があるということを憶えておいてください。

 

 

30年後のあなた  2年面接語録

「30年後のあなたは、どんなあなただと思いますか?」

私がご一緒した面接官の方が、ほとんど全員の生徒に最後に問いました。もちろん、この質問は想定外だったので、生徒は押し黙るばかり…    「わかりません。」言葉にできただけ、素直な思いを表現できたので○と言えるでしょう。面接官の方はこの質問で、何を知りたかったのでしょう? ご自身に近い年齢で、今の中学生が30年後をどう思い描いているのか知りたかったのでしょうか?

 

彼はしばらく黙った後、「わかりません。」と答えました。そして、思いを巡らせた後こう続けました。「けれど、自分が今なりたいと思っている自分であったら…と思います。」

 

私は胸が熱くなりました。学年集会でよく田畑教諭が「なりたい姿」という言葉を生徒に問います。まだ若く柔らかい、彼らの考える「なりたい姿」とはどんなものなのでしょうか? 人は産まれてから、周りの人間から、或いは様々な出会いを通じて「あこがれる存在」を学びます。果たして、今の大人は彼らの「なりたい姿」であるのでしょうか?

「せめて、反面教師にはなるまい。」背筋が伸びる思いがしたひとときでした。

この面接、生徒 というより、むしろ大人が勉強させてもらったひとときでした。今後の彼らの成長に一助としてぜひいかしていきたいです。お世話になった方々、本当にありがとうございました。

 

不安や恐怖の陰にはあなたの大切なことがかくれている

スクールカウンセラーの岡本です。

人に自分の思いを伝えるのが怖くて、なかなかできないという相談を受けたことがあります。工場で働いていて、仕事を辞めたいのだけれど、社長さんに辞めたいと言えないという悩みです。

皆さんの中にも、そういうのは苦手だなあと思っている方がおられるかもしれません。

それは、決して珍しいことではないのです。

その時ご相談いただいた方は、色々な人と話す場面を設定して練習されました。

ある時、中学時代にいじめられていたことを思い出して、その人に電話をしてみるというチャレンジをされました。電話で話したら、その人に直接会うことになったのです。その人と会って話すうちに、クラス会を開くことを思いつき、そのお世話役をすることになりました。たくさんの同級生に連絡をして、クラス会の日には、皆さんの前であいさつし司会を務めたのです。この方にとっては、準備から当日まで最も怖い場面の連続です。しどろもどろながら司会を務め、クラス会は皆さんに、楽しんでいただけました。

この方は、これらの体験を通して、自分は、人のお世話をしたいんだと気付かれたのです。それまでは、人と接するのは苦手だ、怖いとばかり考え、工場の仕事など、人と接することを避けやすい仕事を選んでこられましたが、人のお世話をして、人と接する仕事がしたいんだと新しい発見をされました。それで、研修を受けて、介護の仕事を目指すことになったのです。

その方は、人と接することが大切だと思うからこそ、上手くいかなかったらどうしようと緊張したり、不安になっておられたのです。あなたも、不安に感じたり、緊張したり怖くて避けたくなることの後ろに、あなたが大切にしたいことが隠れているかもしれません。一緒に探してみましょう。避けていると大切なものに近づけません。